仙台高等裁判所 昭和28年(う)341号 判決
原審が、被告人五十嵐金弥に対する証拠として、所論(イ)の各供述調書、被告人箱崎義一に対する証拠として所論(ロ)の各供述調書謄本、被告人合津定之に対する証拠として所論(ハ)の各供述調書をそれぞれ刑事訴訟法第三百二十一条第一項第二号の書面としてその証拠調をし、之を判決において、右各被告人に対する証拠としてそれぞれ援用していることは記録及び原判決の上において明かである。これらの証拠が一旦刑事訴訟法第三百二十一条第一項第二号の証拠として証拠調の請求がなされ、弁護人から異議の申立があつたので同法第三百二十八条の証拠として提出して証拠調がなされその後更に同法第三百二十一条第一項第二号の証拠として証拠調の請求が為されてその取調が行われたという所論の事実は記録上全く認め得ないところである。のみならず、一且刑事訴訟法第三百二十八条によつて証拠調をした証拠でも同法第三百二十一条第一項第二号の要件を具備する限り、之を同条項号の証拠として取調べることは少しも差支えのないことである。而して前記(イ)(ロ)(ハ)の各供述調書中の供述が、(イ)について箱崎義一、及び合津定之の(ロ)、(ハ)について各五十嵐金弥の公判廷における証人としての供述よりも信用すべき特別の情況があつたことは審理の経過に照して、之を認めるに足るところであるから、原審が之に証拠能力を認めて証拠調をし、判決に援用したことは何等違法ではない。
(後略)